2013年1月24日木曜日

自民党は日銀法改正を


自民党は日銀法改正についてどう考えているのはっきりしない。それが市場の疑心暗鬼を生んでいる。麻生財務大臣も甘利経産大臣も発言を聞いている限り、金融緩和のメカニズムについて深いところで理解しているとは思えない。

理解できているのは安倍総理ただ一人である。

自民党は半世紀以上政権政党の立場にいたため、立法化しないで裁量行政で済ませてしまうという悪い癖がある。政治家も自分たちの影響力を誇示したいのでルール化されることを嫌う。政治介入の余地を残すことで自分たちの政治力が生かされる余地を残す。

しかしこのようなやり方は自らを窮地の追い込む。なぜなら、官僚は自分たちに不利な要望を押し付ける政治家を取り除いてしまえば、自分たちの権益を守り続けられると考えるからだ。

したがってルール化しないで裁量に任すというのは、官僚の行政権限を不必要に拡大し、かつ官僚たちに不利な政治家を排除するインセンティブを官僚側に与えてしまう。

日銀法改正は決して政治家の要望を金融政策におしつけるためではなく、むしろ、というか本来は日銀側に政策手段の独立性を与えるものであり、政治家の不必要で裁量的な介入を防ぐためのものだ。

その意味では日銀官僚は本来改正を歓迎すべきはなしなのである。それを拒否するということは、要はできなかった時の責任を負いたくない、官僚的処世根性が出てしまっているということである。

官僚は法的根拠がなければ動かない。日銀法を改正しないということは、政治家は官僚のサボタージュを追及し是正する手段を失う。また金融緩和に積極的な総裁が誕生したとしても、その人物が金融緩和を正当化する政治的根拠を失うことにもなるのだ。

日銀法を改正しないまま、経済諮問会議で介入した場合、メディアに口先介入だと叩かれるだろうし、市場はその都度不必要に神経質にならざるを得ない。これは市場に非効率性を生み出す。

安倍総理は早期に日銀法改正を規定路線とし、その路線を支持する日銀総裁を任命すべきである。日銀総裁が決まったあとで日銀法改正を言い出して、万が一その総裁が反対に回った場合、話が大変ややこしくなる。

自民党は安倍カラーを封印して経済政策に全力を尽くすといっている。そのことに不満を感じる自民支持者も潜在的には多い。そのような状態で経済政策すら抜本的な対策を講じられないのであれば、安倍自民への期待が失望に変わるのは早晩明らかだ。

安部自民が長期政権になれるかどうかは、まさに日銀法改正がその試金石となろう。

市場は一時的ではなく恒常的な金融緩和を望んでいる。だとすれば法制化して日銀をルールに従わせるべきである。そのことが市場の不安を払拭する最善の方法である。

自民党はもはや半永久的に政権を担うという政党ではない。小選挙区制度を導入した以上選挙制度を変えない限り、政権交代は常に可能性として存在する。

政権が代わっても制度は残るし残す政治をしなければならない。自民党はそのことを考えながら立法化に勤しむべきである。

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