2012年12月27日木曜日

政治主導とは何か


民主党の政治主導は大失敗に終わった。最大の問題はそもそもの定義が不明確であったことだ。

おそらく民主党議員それぞれに政治主導を聞いても「議員が官僚の言いなりになるのではなく自分で判断すること」みたいな答えが返ってきただけだろう。はては官僚を怒鳴ることこそが政治主導と考えた御仁もいる。それはただのパワハラだろう。

政治主導というとどうしても内閣の閣僚についての議論になってしまうが、ほとんどの議員は立法府の人間であり政府には入らない。議員の仕事が立法にあるのであるからその場合の政治主導とはあくまでも立法の仕事に関することでなければならない。

そこを勘違いするから副大臣や政務次官など国会の仕事をホッポリ出してみんながみんな政府に入り込もうとしたり押し込もうとする。

立法府の人間が政府=行政に関わりすぎるのは大変危険である。特に日本の場合法案のほとんどは閣議決定されて政府が提出するものである。政府から提出された法案を国会で審議して国会議員の多数を得て法律となるのだ。

立法府の人間が多数行政に入り込めば立法府のチェック機能は働かなくなり事実上形骸化してしまう。国権の最高機関は国会であって政府ではない。

政治主導とは、本来立法を仕事とするはずの日本の国会議員が法案作成の能力を持たず行政機関に陳情・お願いして官僚に法律を作ってもらうという事実上のロビイストである現状を変えることにあるはずだ。

アメリカのように議員立法がほとんどであり廃案になったとしてもどんどん自分の名前のついた法律を提出し作成することが本来の「政治主導」のあり方のはずである。

ではそれをどうやって達成するか。

法律を作るためには法律に精通したプロがいなければ話にならない。そして法律を作るプロは行政機関の官僚である。したがってそのプロを議員の政策スタッフに充当することが必要になる。

日本の行政官僚は早ければ30代後半で肩たたきが始まる。年をとるにしたがって昇進するためのポストは少なくなる。したがって国はその官僚たちの就職の受け皿を用意しなければならない。

それが天下りである。自民党は専門職コースを用意したりできるだけ官僚を行政の外に出さないというやり方で天下りを少なくしようとしているが、それなら政治家の立法スタッフとしてのコースを用意してやればいいのではないだろうか。アメリカの政治家には立法スタッフが20人ぐらいついている。それぐらいいなければ法律は作れない。

日本の主要課題が政治主導行政改革なのであれば、肩たたき官僚にこのような"第二の人生”を用意してあげることは一石二鳥だとおもうがいかがだろうか。

国会議員は衆参で720人、一人につき3人つけたとしても2100人の雇用の受け皿になる。人件費が大変ではないかという批判が来そうだが、国の監視の届かないところで特殊法人を使って馬鹿みたいな高給や支出をされるよりよっぽどいいではないか。私は最低5人は必要だと思う。その人数が多すぎるなら議員の数を3割ほど削って代わりに政策スタッフを充実させてもよい。

政治主導とは「立法スタッフを行政機関から充当して議員立法の割合を例えば30%超にする」などと目標を定めれば定義もはっきりとしよう。

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