2012年12月29日土曜日

日本の小選挙区制度が極端に振れるメカニズム

  

日本の小選挙区の振れ幅の激しい結果をみて小選挙区制度は大きく振れる制度だと簡単に決め付ける人が多い。しかしこれは間違いではないが世界の事例を見ると必ずしも正しくはない。

小選挙区制度の代表的採用国はアメリカだ。そのアメリカでは上院下院ともにあまり選挙結果が変動しないことで知られている。

アメリカでよく言われているのは現職が強いということである。なぜ現職候補が強いかといえば強い現職候補の挑戦者に強い候補者はなりたがらないからである。将来性ある魅力的な候補者も負けてしまえば何にもならないからである。

逆に言うと将来性ある強い候補者は弱い現職候補の選挙区から立候補したがるということになる

したがって強い候補者には弱い候補者が立つ。強い候補者とは現職である。だから現職は強いとなる。現職の強さと挑戦者の弱さは比例するのだ。

このためアメリカの小選挙区で現職と挑戦者が入れ替わる選挙区はもともと弱い現職候補がいる少数の選挙区だけということになる。

ではアメリカと違って日本はなぜふり幅が大きいのだろうか。日本の制度は小選挙区比例代表制である。ここに日本独自の特徴がある。

候補者のほとんどは小選挙区と比例区の重複立候補者である。したがって仮に小選挙区で落選したとしても比例区で復活当選という可能性が残されている。

その復活当選できるかどうかは候補者の比例順位は少数の政党を除いて一律同一順位なので比例復活は惜敗率によって決定される。ここが肝だ。

アメリカの制度ならライバルに負ければおしまいなので相手が強ければ強いほど諦めの度合いも強くなる。しかし日本の制度はがんばれば、惜敗率を高めればもしかすれば復活の可能性が出てくるのである。

強い候補者にとっても仮に小選挙区で負けることがあったとしても比例で復活できるいわゆる”保険”がついている状態であるから、多少なりとも選挙運動で手を抜いても当選できる可能性が残っていることになる。したがって力関係に差があればあるほど手を抜く度合いも大きくなるわけだ。

そのためライバルの力の格差が大きければ大きいほど次の選挙においてその差が縮まる度合いが大きくなる。

このことが意味するのはライバルの力関係は大きくは広がらず縮小する傾向にあるということである。そして両者の力が拮抗した選挙区が多くなるということである。

そういう状態でちょっとした風がどちらかの政党に吹くだけでも大きな議席を得る政党と大きく議席を減らす政党が出てくるのは直感的に理解できるだろう。そしてそれが死票数が多くなる原因にもなっている。

日本の小選挙区制度は急進的な二代政党制であり個人的にはあまりよくないと思っている。穏健的な二大政党制を目指すなら二人まで当選可能にすればよい。

とはいえ自分は日本の政治風土では二つの大きな政党に有権者の選好が収まるとは考えていないので3つの大きな政党に分かれるぐらいがいいと思う。

現在の状況でいうならば都市部の保守系である維新、都市部の革新系である民主、そして地方の保守である自民の3つである。

この場合当選者数を3人として有権者は2票を投じることができるとすれば良い。この場合比例並立しても選挙結果のブレは現在のものよりも影響は小さくなる。

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