2012年12月30日日曜日

放送法の不偏不党原則をはずせるのはいつか


放送法には不偏不党原則が盛り込まれている。

いわゆる放送法第3条の規定である「政治的公平、報道は事実を曲げない」、第4条第一項の「意見が対立している問題は出来るだけ多くの角度から論点を明らかにすること」の二つから構成されている。

これらが義務として規定されているのは放送局というものが国民の資産である電波を特権的かつ独占的に使用できる権利を国民から施されているからである。特に日本の場合電波使用料は格安であり、ほとんど払っていないといっても良い。

日本の主要なキー局というのはフジ・日本放送・テレビ朝日・TBS・テレビ東京の5つの在京キー局を指すが、これらは戦後すぐにGHQの指導の下、国有地などを払い下げられてできた少数の放送局である。

その後テレビ局は新規参入もなくそのキー局の下に系列化する形でローカル局がくっついている形になっている。

これら多数の零細なローカル局は番組を制作する力がないので在京キー局から番組を購入して放送している。そのため日本全体としては如何にローカル局の数が多くても放送報道の多様性という点ではキー局の5局に集約されてしまうのである。

このためこれらキー局の言論に与える影響は大きい。そして規模が大きいがゆえに政治や国民に与える影響はすさまじいものがある。偏向報道がなされると国民の合意形成に悪影響を及ぼしてしまう。

特に日本の場合、クロスオーナシップ制や電通のような独禁法違反の広告代理店の存在がその力を増強している。メディアの気に入らない政治家などは系列化されたテレビ・新聞・ラジオ・雑誌などから集中砲火をあびる。これではどんなに力のある政治家も太刀打ちできない。

それゆえに不偏不党の規制が掛けられているのである。逆に言えば規模も小さく影響力もなければ不偏不党の縛りなど必要がなくなる。

政治を左右できる力を持ったメディアが政治に介入したがるのは当然である。それを防ぐためには不偏不党原則に伴う罰則規定が必要だがメディアの力が強いので施行できない。

このようにいびつなマスコミの産業構造を作ってきたのは紛れもなく自民党である。自民党にとって電通を頂点とした情報のヒエラルキーは世論を効率的にコントロールするには都合が良かったのだろう。

しかしいまやその力をつけたメディアに牙をむかれ、叩きに叩かれて政権から追い出されるような事態を招いたわけだから根本的に発想を変えなければならない。

解決方法は電波オークションを導入して新規参入を促し、1局あたりの規模と影響力を小さくすることである。そうなれば不偏不党原則をはずすことができ、旗幟を鮮明にしたメディアが多数生まれてくるだろう。

競争相手が増えれば目立つためにエッジの効いた番組を作るようになるだろう。そうなれば視聴者も自分の好きなメディアを選択肢として選べるようになる。特定の政治勢力におもねった余計な自主規制もなくなっていくはずだ。

嫌でも5チャンネルからしか選べなかった放送局側主導の今までとは違って、チャンネル数が増えれば視聴者主導で支持を得た番組をつくる放送局が伸びていく。

ニコニコ動画のサムネを例にすれば理解しやすいと思うが、視聴者の選好を反映した動画を供給側がどんどん上げるようになっていく。そしてそれこそが結果としての政治的中立性つまり多数派を反映しているわけだ。そこに政府の介在する余地はない。

放送法の政治的中立性のアプリオリな定義にこだわっていると神学論争に陥りそれこそ既得権を守りたい既存メディアの思う壺である。

罰則規定によって偏向報道抑止するのではなく、偏向報道しても問題がない程度に規模を縮小させ言論の多様性を確保する状態に持っていくことこそがこれからの放送行政の未来のはずである。

不偏不党原則ははずそう。そのためには電波オークションによる新規参入をすすめて多チャンネル化することが前提条件になる。目指すは放送ビックバンだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿