2013年1月10日木曜日

フジテレビがダメになった理由


フジテレビがもがき苦しんでいる。7年連続の視聴率三冠王から一転してテレビ朝日にも抜かれて3位に転落した。

なぜフジテレビが視聴率を落としているのか。韓流偏向に大きな原因があると考える声が多いが、それだけではない。

もちろん韓国というやっかいな隣国のコンテンツに対して拒否感を示した視聴者が多かったことも直接的な要因になったと思われるが、おそらくそれだけではない。

フジテレビは韓流といわれるドラマや音楽の販売権を獲得して自社所有コンテンツとし、番組内でそのコンテンツについて全社あげてのステルスマーケティングをおこなった。

このステマこそが視聴率を中長期的に低下させている原因であると考える。

どういうことかというと、番組内で自社保有のコンテンツを広告と表示させないで、つまりステマをして紹介した場合、視聴率が多少落ちたとしても、テレビ局はそのコンテンツ(CDやらチケットやら)の販売収入によって大きな利益を得られる可能性が出てくる。つまり放送外収入によって放送内収入を補填する以上に儲けることが可能になるわけだ。

これはテレビ局のとって一見良いことづくめのように思える。しかしこのようなビジネスモデルはテレビ局の収益を大きく毀損する問題をはらんでいる。

まずこのようなモデルは番組のスポンサーを軽視する意識をテレビマンに生み出すということである。テレビ局からすれば番組内で自社コンテンツを宣伝して放送外収入で補填できるのであれば、視聴率至上主義を取る必要はなくなる。多少視聴率が下がっても”おつり”が来るからだ。

このためテレビ局は視聴率を取れる番組ではなく、自社コンテンツに沿った番組をつくりがちになる。しかしそれでは視聴率は当然のごとく落ちてくる。

またこのような考えはスポンサーからすれば誠にふざけた話である。スポンサーはテレビ局のコンテンツ売るためにスポンサー料を払わされた挙句、テレビ局が視聴率を上げるための努力をしないわけだから。まるでスポンサーが下僕でテレビ局がご主人さまだ。

これでは短期的にはともかく長期的にはスポンサー離れを生み出すだろう。なんでフジテレビのコンテンツの宣伝費を自分たちが出さなければならないのか、という当然の反応がでてくるからだ。

さらに副次の効果として現場の士気の低下を引き起こすはずだ。テレビマンといえば、それが良いことかどうかは別として「視聴率がすべて」の価値観だったはずだ。

それがそうでなくても良いとなった場合のテレビマンのマインドを考えたら明らかだろう。売り上げがすべての営業マンが営業成績で順位づけられなくなった場合どうなるか。

フジの不調を番組制作能力や世間のニーズを読み取る能力の低下に求める声が大きいが、それにはこのようなまちがったビジネスモデルから来る社内の"弛緩した”雰囲気が影響していると思う。

ステマは欧米では法律で禁止されている。国民の資産である電波を特別に供与されているという意識が抜けて、自社の利益追求だけに暴走すれば、大きなしっぺ返しを受ける。因果応報である。

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