2013年1月12日土曜日

いじめ対策は難しくない


いじめ問題が紙面をにぎわせている。

なぜいじめが起きるのか。さかなくんが真理をぴたりと言い当ててるので一部を引用しよう。http://www.asahi.com/edu/ijime/sakanakun.html

”広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。”

短い文にいじめに関するすべての要素が含まれている。三流の教育学者には到底到達できない本質を直感的に探り当てている。閉鎖された空間だといじめというものが個人の意思とは関係なく起こる、ということだ。

いじめは閉鎖された空間、つまりは逃げ場がない中で、恒常的に人間関係が固定化し、生徒間に大きな力の格差が存在した場合発生する。

   ・閉鎖された空間
   ・恒常的な人間関係
   ・力関係の格差

閉鎖された空間では外部の目が届きにくい。警察もはいってこない。自治といえば聞こえはいいがようするに無法地帯か私法が支配する世界だ。このような環境ではいじめは当然ながら発生しやすくなる。

恒常的な人間関係も子供たちにストレスを与える。大阪市の市立高校の問題では教師による体罰、つまり生徒に対するいじめだが、この教師は18年間もバスケットボールの顧問を担当していたらしい。恒常的な人間関係は力関係を増幅させ、いじめられる側に反撃したり逃げるチャンスを奪い力関係が固定化する。

というわけでいじめが発生する原因はわかった。ならば解決方法は簡単だ。閉じられた空間を開放して人間関係を流動化させてやればよい。では具体的にはどうすべきか。

予備校や塾、そして大学を考えてみてほしい。いじめもあることはあるだろうが、それは例えば大学の運動系サークルだとか局所的なもので、せいぜい新歓コンパで無理やり酒を飲まされたとかそのレベルのものが多い。予備校や塾でいじめが発生したという話はほとんど聞かない。なぜだろうか?

予備校や塾や大学の特徴は一言で言えば、クラス制ではなく講座制もしくは単位制だということだ。クラスのメンバーを固定してそのメンバーで同じカリキュラムをこなしていくというのがクラス制だとすれば、講座制は学生個人が思い思いの自分にあった授業を選択して単位をとっていく制度である。

クラス制は何をするにしてもクラスメートと一緒だ。体育も遠足も授業も。これでは子供たちにとって少しでも交友関係が悪くなることは非常なストレスになる。そのはけ口がいじめに向かう。いじめいじめられる関係に入らない第三者もその関係に巻き込まれることを怖れて傍観者になる。クラス制は上に挙げたいじめの三要素をすべて持ってしまっている。

これに対して講座制は個人個人が自分の選択によって受けるべき授業を選択する。先生はクラスの担任ではなく生徒個人個人のメンターやカウンセラーとして生徒を保護し導く役目を負う(こちらのほうが生徒と先生の距離を近づけるのではないだろうか)。講座制はクラス単位で動かないので授業時のメンバーも自然と一時的なものになる。

現在考えられているいじめ対策はすべて、今までどおりのクラス制を前提にした対策である。少人数クラスにしたりして先生の監視を強化するとかだ。しかしそれでは抜本的ないじめ対策にはなりえない。先生の監視をすりぬけてやるのがいじめだからだ。

いじめ対策の本質は驚くほど簡単だ。それは人間関係に流動性を与えることだ。具体的にはクラス制から講座制への移行である。生徒間だけでなく教師を含めた学校内の人間関係の流動性を高めることが大事だ。特別区をつくりまず単一校内で実験を。

そして結果が出れば、市内の市立校をナンバースクール化して生徒間の移動をある程度緩和させる。そのためには公立高校間のカリキュラムの標準化を進めて、単位の移動が可能な体制にしなければならない。これができるのは学校間の情報公開を進めている大阪の維新しかない。

こうすればいじめられている生徒もすぐに他の校区へ転出できる。そして転校に伴う学業上のストレスや転校先での人間関係構築のコストも発生しない。河合塾の梅田校から神戸校に移動するようなものだ。

予備校がやれて学校ができないわけがない。中学への導入が拙速すぎるなら、まず高校からでもやってみてはどうか。講座制は学生自身に自分のキャリア選択を真剣に考えさせる機会にもなる。

というわけでたのんます橋下さん。

1 件のコメント:

  1. 必要な対策だと思います。10年前から学校内にいろんな人が入って来られたらいじめは減るだろうと思っていたが、結構簡単な対策で出来そうすぁうね。私も大学ではいじめを見たことも聞いたこともありませんので、大学と同じ構成なら閉鎖空間になりづらくいじめを大幅に減少できる可能性があると感じました。

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